東大探検隊

―第31回― レーニン体育館

東大駒場キャンパスには「レーニン体育館」という名の施設があります。レーニンと言えばソ連の指導者だった人ですから、きっと学生運動華やかなりし時代に、その名を冠して建てられた体育館なのではないかと想像が膨らみます。もしかしたら、(ソ連が得意そうというイメージですが)器械体操を専門に行う体育館だったりするのでしょうか。そして、隣にはスターリンプールや毛沢東卓球場があったりすれば完璧ですね!

残念ながら話はそううまくはいきません(当たり前だ!という声が聞こえてきそうですが。)だいいち、国立大学のキャンパスに、そんな政治臭がプンプンする名前の施設があったら大問題になるでしょう。これはキャンパス内の体育館のひとつにつけられたアダ名のようなものなのです。もっとも、アダ名というよりイタズラと言った方がいいかもしれないのですが・・・。

それでは「レーニン体育館」の入り口の表示をご覧下さい!(写真1)

う〜ん、これだとボロボロでなんだかよくわかりませんね。かろうじて「育館」だけはしっかり読めますので、体育館だということはわかるのですが、タイルの上に貼りつけてあったはずの金属製の文字板の多くが剥がれてしまっているので、正体がさだかではありません。

実はこの割とあっけなく剥がれてしまった文字板こそが、「レーニン体育館」を生み出すことになった原因(元凶)なのです。どういうことなのかご説明しましょう。では、この入り口の左に回ると種明かしです(写真2)。

な〜んだ、という声が聞こえてきそうですね。そうです、この体育館の正式名称は「トレーニング体育館」だったのです。私も大学1年生のときにトレーニングという科目を履修し、この体育館の中でトレーニング器具を使った運動をしたことがあります。そんなトレーニング体育館なのですが、誰かが悪ふざけで入り口の文字板の「ト」と「グ」だけうまく剥がして「レーニン体育館」にしてしまい、それからその名で知られるようになったという訳です。しかし、いまとなっては他の文字も剥がれてしまっているので、何が何だかわからないことになってしまっています。たぶん、いまの学生は「レーニン体育館」と言ってもその秘密を知らないんでしょうね。
駒場の冷戦時代も終わったということでしょうか。











写真1



写真2


バックナンバー目次
第1回 本郷キャンパスの花見スポット
第2回 嗚呼、コマリョー
第3回 「運動会」と「鉄門」
第4回 見ると留年する池〜一二浪池
第5回 イチョウのジンクス
第6回 全体にまとまりのない大学
第7回 「シケプリ」のシステム
第8回 春の行事
第9回 銅像の「裏」
第10回 安田講堂の地下
第11回 赤門のヒミツ
第12回 ドーバー海峡を横断
第13回 弥生から根津へ
第14回 塀を乗り越える学生たち
第15回 東大キャンパスの歩き方
第16回 小石川植物園での昼寝
第17回 落第横丁
第18回 フサカを用いた学生実験
第19回 無料展望台
第20回 宇宙船の侵略
第21回 門と紋
第22回 スクラッチタイル
第23回 猫文二
第24回 図書館のスプリンクラー
第25回 東大キャンパスに名前を残す方法
第26回 ジャングルの中の廃墟
第27回 本郷ノスタルジア
第28回 御殿下(ごてんした)
第29回 駒場らしさ
第30回 一高の柏葉

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