第 2 回


――筏(いかだ)は一度にどのくらい引っ張るんですか?

大きさにもよる。材木のね。
だいたいね、100本単位くらいで、一列。
大きいもんになると、50本くらいになるかな。
筏が長くなるときは、筏師も2人くらいになる。





――写真で見ると、筏は縦にも横にも組むんですね。

そうそう。長さによってよ。
短いのは水の抵抗が少ないでしょ。
だから横に組んじゃって、引っ張っていく。


――貯木場に運んで、次に何をするんですか。

貯木場に材木が入ってくると、材種で分けて
目を拾って立米(りゅうべ=立方メートル)を出すの。
それを寸検(すんけん)っていう。
太さと長さで立米を出して、それでもって分けていくわけ。
材種ごとに計算も違ってくるよ。
計算し終わって、今度は材木会社に配分する。
フィリピン材だったらラワンで通っちゃうから、
そのまんまベニヤ屋さんに行っちゃう。
そのほかの材木は材木屋さんに持って行くんで、
筏を組み直して、また引っ張っていくわけ。
上(上流)のほうへ運ぶ材木だったら
隅田川や荒川をさかのぼっていく。
一番遠いところで尾久のほうまで持ってったな。





――目を拾うって?

目っていうのは、寸法のことで
材木の上に特殊な道具で、漢字でもって書いていく。
例えば材木の径があるでしょ。
例えばラワンで、小さいところで76センチ、
大きいところで80センチだとすると、
七六八〇って漢字で書いて、そうすると、
最大と最小の平均を拾うわけ。
それと、長さ。長さが6メートルなら、
七八の六、で立米が出てくる。
そうやって目を拾う。


――特殊な道具って、どんなものですか?

普通はペンキでやるんだけど、チョークでも書く。
長さはチョーク。あとはガリっていう寸検の道具を使う。
特殊なノミみたいな、彫刻刀みたいなもの。
でっかくはないんだわ。刃自体は細くて、自分達で研いで。
それで材木に印をつけていくの。
例えば、潜っちゃう材木なんかあるでしょ、
そんときはさ、番号入れるよりも、ガリで削って、
ペンキが入んないところは、ガリでもって番号を入れる。
要するに刻印ね。


――筏師は材木の種類にも詳しくないといけない?

材木の種類は結構あるからね。
さっき言ったラワンはほとんどベニヤになっちゃう。
軟らかいから。あれは木じゃないんだよね。
草木(そうぼく)ってやつ。
ラワンのむいた皮を何枚も重ねてベニヤにする。
ボルネオ産のクルインなんていう種類の木なんかさ、
この、コバ(端)のところにさ、ヤニがいっぱいついちゃってさ。
カポールも同じで、だいたいこれは堅いの。
製材して、ほかの用途に使ったりなんかする。
ボーリング場のレーンあるでしょ。
あれはね、輸入したアガチス材ってのを使ってるの。
アガチスはインドネシア産で目が詰まってるから、
レーンにするのに最高だったの。
これも皮がくっついてるんだけど、剥いじゃうとツルツルなの。
乗っかるのがおっかないの、滑るから。
本当に目が詰まっていて白い、きれいな材木だった。
嫌なのが、ジョンゴンっていう種類の木で、
皮がさ、グラスウールみたいな細かい皮。
それがさ、手にチクチク刺さって、すごい痛くて。
扱いとしては嫌だけど、すごく堅くて品物にすればいいから、
床材なんかに、フローリングなんかに需要がある。
あとは台湾ヒノキとかも昔はよく入ってた。
黒檀や紫檀はそんなには持ってこなかったかな。
それこそ重いから、筏を組んでその上に乗っけて持って行くの。


――今じゃもう、こういう材木は入ってこない?

ジョンゴン、アガチスあたりは品物自体ないんじゃないかな。
切り崩しちゃったでしょ。
ボルネオで残っているところでも、ほとんど、
空いた土地は焼畑なんかにしちゃうから。
だから、みんなはげ山になっちゃってんの。
植林すればいいのに、ね。そうすりゃまだ……。
木を切らせたのは、日本や他の国なんだけどさ。

(おわり)

火焚進さんが、2010年12月3日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
(本記事は2009年4月にインタビューしたものです)


筏師(いかだし)のお話 火焚進(ひだきすすむ)さん 第1回

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